都内中心に不動産売買と賃貸の仲介を展開中のフォーカス。2009年から業務を開始し、順調に業績を伸ばしている。社長の呉炯麟氏は1998年の来日。今年で14年になる。来日前の大学卒業後2年間、大手日系企業に勤務していた。「光ディスクの材料を日本から輸入し、台湾のメーカーに販売していました。スタッフは私の他にアシスタントが1名いるだけで、私の判断が重要になるのですが、その分やりがいのある仕事でした」(呉社長)。
顧客のほとんどが上場企業で、とても良い経験になったそうだ。「人脈もできましたし、ビジネスの勉強にもなりました」同時に日本的な仕事の進め方も憶えることができた。
「学生時代、台湾企業でアルバイトをしたことがありますが、日系企業とは雰囲気がちがっていました。日本の企業のほうが、チームワークを重視するようです。この特徴は私の性格に合っていました」
呉氏は台湾の名門大学で、カトリック系の輔仁大学の出身。ここで日本語の勉強をしていた。「日本で会社を作ることなどは考えていませんでした。ただ、日本に行きたい、日本企業で働きたい、そして精進したいと思っていました」
そんな中、大学の友人たちの多くは日本へ留学して行った。呉氏は経済的理由で留学は困難だったが「ある時閃きました。日本で仕事をすれば、日本のことが勉強できる、お金も手に入ると」。日本人の友人の紹介で、日本のパソコン関連のパーツを扱う専門商社に入社。台湾と中国からの輸入を担当した。この会社の社長は、呉氏の採用に積極的でワーキングビザを用意し、「2年しか日本にいない。台湾に帰ります」と言う呉氏採用した。「しかし、仕事が楽しくて5年近くこの会社にいました(笑)」
そしてパソコン関連の商社を設立。中国、台湾からパーツを輸入し、日本メーカーに販売した。また、クライアントにどちらの国のパーツが、価格、性能の希望に合うかをアドバイスもした。
同時に不動産投資を開始。「マンション経営を始めました。都内なら値下がりするにしても、急激な値下がりはありません。この業界なら資産経営に適していると考えました」堅実な投資であると呉氏は判断し、知人への紹介を思いつく。そこで宅建主任の資格を、1年かけて独学で取得。不動産業務の開業を実現した。「まだ経験は浅いですが、日本に投資したい人が満足できる物件を、提供できていると自負しています。500万円投資したい人、2億円投資したい人、その人たちが全員が納得いくことを目指しています」
フォーカス設立後は、呉氏自身は不動産投資を控えている。それは、呉氏が良い物件を囲い込んでいると思われないようにするためだ。それほど、投資家のために尽力する呉氏に信頼を寄せる人たちは多い。
「焦らず着実に業績を伸ばしたい」の言葉通り呉氏は、着実に、堅実に事業の拡大を図るだろう。